D4232【白鞘脇差】無銘
江戸時代末期に鍛えられた無銘の白鞘脇差です。平造の端正な姿に、板目肌が素直に現れ、刃文は互の目が乱れつつ湾れを帯び、幕末期らしい実用性と鑑賞性を併せ持つ景色を見せます。刃先に向かって量感のある大切先を備え、抜群の均衡を感じさせる刀身構成です。
注目すべきは彫物で、表に梵字と素剣、裏に護摩箸を刻しています。これらは不動明王信仰に由来する意匠で、災厄除けや武運長久を願う象徴として、幕末の動乱期に武士層を中心に好まれました。動乱の世相を背景に、信仰と武を結びつけた精神性が、簡潔ながらも力強く表現されています。
生茎・栗尻で改変はなく、地鉄の状態も良好。さび・刃こぼれは見られず、銅ハバキ付きの白鞘に収められ、保存状態にも配慮された一振です。無銘ながら、当時の量産実用刀に留まらない丁寧な仕上がりが窺え、資料性・鑑賞性の双方から評価できる脇差といえるでしょう。幕末の歴史的空気を手元で感じられる、初めての古刀・近世刀鑑賞にもおすすめの一点です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 331g
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- 刀長
- 39.1cm
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- 反り
- 0.6
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- 元幅
- 3.2
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- 元重
- 0.5
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- 先幅
- 2.3
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 岡山県 第100988号
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- 登録年
- 昭和59年