D4255【白鞘脇差】兼永
室町時代中期は、応仁の乱(1467年)を経て戦国の動乱へと向かう激動の時代であり、実用性の高い刀剣が各地で盛んに制作された時期です。特に武蔵国(現在の東京都・埼玉県周辺)に根付いた下原鍛冶は、幕府や武家の需要に応えるべく数多くの優れた作品を残した刀工集団として知られています。
本刀はその下原鍛冶を代表する刀工のひとりである「兼永」の銘を切った脇差です。兼永は武州下原鍛冶の中でも格式ある工として位置づけられており、その作風は堅実かつ洗練されたものとして評価されています。
造込みは細身で、刀身長48.5cm・反り1.1cmと手に馴染みやすいバランスに仕上がっています。地鉄は板目(木目状の鍛え肌)が流れるように展開し、澄んだ地肌の美しさが目を引きます。刃文は細直刃(ほそいすぐは)と呼ばれる穏やかで均整のとれた焼き入れで、装飾的な華やかさよりも品格と静けさを感じさせる仕上がりです。切先は小切先(こきっさき)で、時代の特徴をよく示しています。
茎(なかご)は磨り上げ(すりあげ)、すなわちのちの時代に刀身を短縮した形跡があり、目釘穴は2個。ハバキは銅製の祐乗ハバキ(ゆじょうはばき)が付属しており、全体の仕上がりに落ち着きを与えています。白鞘(しらさや)仕立てで保存されており、刀身の保護と鑑賞に適した状態です。
保存状態は良好で、錆・刃こぼれともに見られません。室町中期の作として約550年以上の時を経た品でありながら、刀身の健全さはしっかりと保たれています。
日本刀の歴史や下原鍛冶に関心をお持ちの方、あるいは室町時代の作刀文化に触れてみたい方にとって、18万円という価格帯は入手しやすい水準といえます。初めて時代刀をお求めになる方にもお勧めできる一振りです。
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- 銘
- 兼永
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- 時代
- 室町時代中期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 340g
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- 刀長
- 48.5cm
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- 反り
- 1.1
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- 元幅
- 2.4
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- 元重
- 0.5
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- 先幅
- 1.5
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 香川県 第25404号
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- 登録年
- 昭和60年