D4094【白鞘脇差】祐定
本脇差は、「横山上野大掾藤原祐定」「備州長舩住人」と銘された、備前長船鍛冶の名門・祐定一派による江戸時代初期の一振です。室町時代中期から続いた備前祐定派は、当初は数十名におよぶ刀工たちによって構成された大規模な一派でした。しかし、たびたび発生した吉井川の氾濫によって多くの刀鍛冶が失われ、祐定一族のみが残されました。江戸時代に入ってからも代々その名を継ぎながら、多くの優品を世に送り出しました。
鎬造・庵棟、板目肌がよく詰み、やや柾がかる地鉄に、直刃を基調としつつも乱れごころを帯びた刃文が焼かれており、静の中に動を感じさせる表情が魅力です。あと2cmあれば刀として分類される長さを持ち、脇差ながらも堂々たる風格を湛えています。
茎は健全で、銀の祐乗ハバキ。保存状態は概ね良好ですが、刃こぼれが3ヶ所、また多少のさびが見られます。とはいえ、名門・祐定の銘を持つ作品としての価値は高く、刀工史や地方鍛冶の流れを語る上でも貴重な一振です。
歴史ある長船祐定が、打ち出した気迫のこもる一作。コレクションや資料として、ぜひご注目ください。
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- 銘
- 祐定
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 514g
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- 刀長
- 57.9cm
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- 反り
- 1.5
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- 元幅
- 2.9
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 大阪府 第18375号
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- 登録年
- 昭和30年