寿幸作 大小揃い 天保十二年 三つ葉葵紋塗箱付
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- 銘
- 寿幸
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- 時代
- 江戸時代末期
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- 刃紋
- 大小ともに乱
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- 目釘
- 大小ともに1個
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- 重量
- 大: 572g / 小: 367g
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- 刀長
- 64.2 / 42.4
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- 反り
- 大: 1.6 / 小: 1.1
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- 元幅
- 大: 2.8 / 小: 2.7
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- 元重
- 大: 0.7 / 小: 0.7
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- 先幅
- 大: 1.5 / 小: 1.8
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- 先重
- 大: 0.5 / 小: 0.5
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- 登録番号
- 商品説明文に記載
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- 登録年
- 商品説明文に記載
天保十二年(1841年)、濱部見龍子壽幸(としゆき)による大小揃いです。天保期は飢饉や大塩平八郎の乱、外国船来航と封建制の矛盾が表面化した時代にあたり、本品は「格」と「実」の両輪で激動を生き抜こうとした人々の精神を体現した一具といえます。
大刀は刀身64.2cm・反り1.6cm、小刀は刀身42.4cm・反り1.1cm。刃は意図的に低く焼かれ、折れず曲がらず切れ味に優れるという実用を追求した作りです。地鉄は大小ともに小杢目(こもくめ・細かい木目状の鍛え肌)が緻密に詰み、刃文は穏やかな湾れ刃に小互の目が交じる、静謐ながら力強い仕上がりです。小切先に生茎(うぶなかご・製作当時のままの茎)と栗尻を備え、銀製祐乗ハバキが格式を添えています。
拵には金工の名門・後藤家十五代当主である後藤光美の金具が供えられ、格調の高さは際立っています。鍔に配された河骨と雀、縁金の百合、そして目貫には大刀に花籠、小刀に牡丹をあしらうなど、意匠の一つひとつに深い象徴性が宿ります。鞘には研ぎ出した鮫皮が用いられており、防水・耐久・耐摩耗に優れた実用の結晶です。天保の改革による奢侈禁止令のもと、実用の名目に審美眼を忍ばせた知的な美意識の表れと読み取れます。小刀には「肥前守藤原鎮政」銘入りの小柄も付属し、拵全体の品格をさらに高めています。付属の塗箱に刻まれた三つ葉葵紋は、徳川家縁の陪臣や葵紋を許された有力御用商人が所有していた可能性を示唆しています。
状態は大小ともに錆・刃こぼれなく良好です。鞘に大刀は直径1〜1.5cmの塗りの剥がれが3箇所、小刀は約3mmの剥がれが1箇所見られますが、経年を考慮すれば軽微な範囲です。大小の刀身および拵のいずれにも日本美術刀剣保存協会の特別貴重刀剣認定書が付属しており、品質と来歴の裏付けとなっています。
後藤光美の金具から三つ葉葵紋の塗箱まで揃って伝わる同一刀工・同年紀の大小は、江戸末期の工芸と精神文化を今に伝える希少な一具です。
登録は、大は石川県 第28322号(令和7年)、小は東京都 第211633号(昭和53年)。
